hayashi_77 のブログ

漁師の夫と猫たちと離島で暮らすITエンジニアが書いているブログです。

大島では冬のウニ漁のシーズンです(知られざるウニ加工について)

年の瀬も押し迫ってまいりましたが、お正月の準備はお済みでしょうか?

大島では今まさに、お正月のためのウニ漁が行われています。 

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お寿司屋さんや居酒屋さんで食べる高級品のウニと、海の中で見るあのトゲトゲした物体が結びつかない方もいらっしゃるのではないでしょうか?

私もイマイチ結びついていなかったのですが、大島に住んで、ウニがトゲトゲから高級品になる過程を知ることができたので、知られざるウニ加工について、ちょっとご紹介してみます。

ウニ漁について

大島では、ウニ漁は年2回シーズンがあり、夏は赤ウニ、冬は紫ウニを取ります。資源保護や他の漁との兼ね合いで、漁ができる期間はそれぞれ1週間程度です。

ウニはこういう岩場で泳いでいても見ることができますが、漁の時は船で少し沖にでて獲ります。

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夫が海に潜ってウニを取り、妻がそれを全て手作業で板ウニに加工する、という役割分担をしています。

板ウニができるまで

ウニが、お店で見るあの板ウニになるまでには、以下のようなステップを踏みます。

1. 海から取って来る

夫達はウェットスーツを着て素潜りでウニを取ります。真冬なので寒そうです(>_<)

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この袋1つにおよそ200個のウニが入ってます。

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2. ウニの殻を割る

ここからは妻のお仕事です。ウニをひっくり返して専用の器具で真っ二つに割ります。

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鮮度が命なので、夜に子供を寝かし付けつつ作業します。本当に頭が下がります(>_<)

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3. ウニの身を取り出す

ウニの身を蟹スプーンのような道具を使って取り出します。この時、身が崩れないようになるべくきれいに取り出すのですが、作業者の熟練度によって、身のきれいさとスピードが全然違います。

ものすごい速さできれいにくり抜く達人のおばあちゃんがいるそうなので、そのうち作業を見学してみたいと思っています。

4. ウニの身を洗う

取り出したウニの身には、身以外の不純物もついていたりするので、1つ1つ洗ってきれいに取り除きます。

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5. ウニの身を板に並べる

なるべく大きさを揃え、きれいに並べます。大きくてきれいな身が揃っている板は、そうでない板の3倍のお値段になるそうです。

1つの板を作るのに必要なウニの数はおよそ30個。個数と手間を考えれば、ウニのお値段にも納得です。

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6. 出荷 

こうして作られた大島の板ウニは、宗像市道の駅むなかたや福岡市の長浜鮮魚市場に出荷されます。

ちょっとつまみ食いさせてもらいましたが、甘くてクリーミーで美味しかったです(╹◡╹)♡

お正月のご馳走として、大島の美味しいウニを是非食べてみてください!

おまけ

身を取り出したウニの殻は、最後に畑の肥料になります。殻も無駄にしないとは...。エコですね!

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最後に

うちはウニ漁をしていないので、島の方数名にご協力頂いてブログを書きました。

ウニ加工の工程を教えてくれたのは、フィッシャーマンキッチンの奥様です。

いつもは大島フェリーターミナル前で地元漁師の獲って来た魚をフライにした「漁師サンド」を販売されていて、私も大ファンです。

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基本的には大島に来ないと食べられないのですが、1月7日8日に太宰府九州国立博物館で、特別展「宗像・沖ノ島大和朝廷」の関連イベントとして宗像の特産品を集めた「満腹祭」が開催され、そこに出店します。

お近くの方はこの機会にぜひどうぞ( ´ ▽ ` )ノ 

リクナビNEXTジャーナルに、リモートワークを始めて1年経って実際どうなのか?などについて寄稿させていただきました!

少し前になりますが、はてなさんからお誘いを受けて、リクナビNTXTジャーナルに記事を寄稿させて頂きました。

next.rikunabi.com

1年間リモートワークをやってみて、実際どうだったのか?思った通りだったところ、困ったところなどを率直に書かせて頂きました。

 

前回の記事を書いてから半年経ちましたが、大きく変わったことはあまりなく、野良猫が飼い猫になったことくらいでしょうか...。

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すっかりうちの猫になった、大(マサル)・中(アタル)・小吉の3兄弟も出ておりますので、読んで頂ければ嬉しいです。

 

また、最近ではリモートワークに関する取り組みや勉強会などに興味があり、先月はリモートワークジャーニーというイベントで初めてパネリストとして参加させて頂きました。

リモートワークから『自分らしい働き方』の実現を考えるフューチャーセッション 〜リモートワークジャーニー@福岡 | OUR FUTURES

同じような働き方をしている方にお話しを聞くと、すぐ実践できそうなことも多くて勉強になります。

こういうイベントで知り合う方は、札幌や東京・島根・長崎など、遠方の方も多いので、最近はリモート飲み会というのをやってみたいなーと思っているところです。

 

本格的に梅雨入りし、大島ではアジサイがキレイに咲いています。

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それでは今日も1日、仕事がんばりましょう!

ITエンジニアの私が漁師の嫁になって離島に引っ越した結果...

このエントリは「地方在住ITエンジニア(元・地方在住も可) Advent Calendar 2015」の 24 日目の記事です。

www.adventar.org

はじめに

今月、会社のアドベントカレンダーでリモートワークについての記事を書いたのですが、離島でリモートワークをするに至った経緯と、仕事に関係ない島生活のことを書きたくて参加させていただきました。

私自身、びっくりすることが多かったので、島ってこんな感じなんだと、楽しんで頂けると嬉しいです。

自己紹介

ITエンジニアとして働いています。

結婚を機に離島に引っ越し、水曜日だけ福岡市内にある会社に出勤して、他の日は島の自宅でリモートワークをする形で働いています。

どこの離島に住んでるの?

九州本島から船で30分程度のところにある、福岡県の 大島 に住んでいます。

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島の周囲は約15km、車だと30分で一周できるくらいです。

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2015年3月の時点で島の人口は701人です。1950年には2,200人くらいの人が住んでいたそうですが、若い人が働きに本土へ移ったので、今はお年寄りが多くなり子どもが減っています。

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島の主な産業は漁業と農業、釣りなどの観光業が中心で、1年間で約10万人の観光客が訪れています。

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島にはタクシーが1台しかないのに対して、船は174隻あります。最近、信号がないことに気づきました。

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どうして離島に住んでるの?

漁師と結婚しました。漁師の仕事は天候に左右されるので勤務時間や休日がきちんと決まっていません。急に仕事にでることも多く、島の外に住むことは難しいです。

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どこで知り合ったのかよく聞かれるのですが、福岡県離島振興推進員連絡協議会が開催した福岡県の離島8島合同の婚活イベントがあり、それで知り合いました。

初めての婚活イベントな上に 男性35人 vs 女性36人 という大人数で、かなり疲れました。

15組くらいカップルができましたが、やはり離島だと会うのが難しいせいか、あまり続いたカップルはいなかったようです。(なんでそんなことを知っているかというと、島ではカップルになった人はその後の動向も含めて知れ渡るからです。漁師ネットワークもあり、他の島のカップルのその後も知ることができました。)

最初から離島に引っ越すのを前提にしていたように見えますが、参加するまでの経緯が色々あって、正直私は参加はしたもののあまり真剣に考えていませんでした。 まさか本当に離島に嫁ぐことになるとは...。人生、なにがどうなるかわからないものですね。

リモートワークになるまで

結婚が決まって、私の仕事はどうするの?となりました。今の会社が好きで辞めたくなかったので、今後はリモートワークをしたい旨の提案資料(島の概要や通勤にかかる時間の説明を含む)を作って会社に相談してみることにしました。

 

結果OK!( ・ㅂ・)و ̑̑ グッ

 

仕事が変わらず続けられて本当によかったです。

参考までに島の女性のお仕事事情をわかる範囲で書くと、専業主婦が多いようです。 ただ、春にはワカメやヒジキ取り、年末は嫁ブリ(九州では新婚さんの初正月に嫁の実家にブリを送ります。娘さんは「よか嫁ぶり」です。という意味があります。)の出荷、畑仕事など色々やることはあって忙しそうです。

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元看護師さんもいますが、島には小さい診療所が1つあるだけなので、資格を持っていても定収入を得られるような仕事が少ないというのが現状です。

島でびっくりしたこと

1. 住宅事情

この島では新婚世帯は実家に住まずに賃貸で家を借りて別に住んでいるのですが、賃貸で借りれる家がほとんどありません。民営のアパートはなく、市営/県営アパートのみです。空き家はいくつかありますが、かなり朽ち果てています。

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私たちは1軒家を借りて住んでいますが、家賃は1万円です。車は港の端に止めているので駐車場代は0円です。

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2. 鍵をかけない

みんな基本的に家に鍵をかけません。車もいつも鍵をつけっぱなしで置いてあります。島に引っ越したばかりの頃、夫に「なんで車に鍵をかけてるんだ!」と言われた時は「(;゚Д゚)エエー」となりました。

3. 虫とか生き物が多い

夏はとにかく虫が多いです。今年は今まで見たことがない虫をたくさん見ました。ちょっとやそっとの虫では驚かなくなりましたが、リビングのカーテンを登るカニを見たときはさすがに驚きました。

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4. 島内放送

「駐在さんが赴任交代のため13時の船で島を去られます。見送りに来てください。」などの放送がかかります。放送内容が面白いのでひそかに楽しみにしています。

5. 外食するお店がない

夜に飲みや食事に行くようなお店はありません。カレーやちゃんぽんを出す食堂が1軒と、喫茶店が1軒あるだけです。

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ご飯は作らないと食べられないものなのだと知りました。

6. 買い物するお店がない

島にはコンビニもスーパーもありません。農協が1軒あって米や調味料などはそこで買えますが土日祝日は休みです。

島の人たちは対岸の港にも車を持っていてそれで買い物に行ったりするようですが、うちは全部生協で週に1回配達してもらっています。

すぐに買い物はできないので、食料は多めに備蓄するようになりました。

土曜日になると「おいしか豆腐食べんですか〜」と色々売ってる豆腐屋さんもワゴン車でやってきます。

ただ、農協も生協も豆腐屋さんも値段が高いです。車や船の燃料は漁協でいれていて、1Lにつき10円の離島補助が出ますが、それでも本土より高いです。(島が小さいのでまだ1回しか車の燃料入れてませんが)

島は生活費が結構かかります。

7. ご近所付き合いが濃厚

初めて島に遊びにきたとき、白だしがなくて夫がお隣さんに借りに行きました。「昭和か!」と思いました。

私が引っ越してくると「魚さばくの苦手だったら、さばいてあげるから持っておいで」と言ってくれて、お隣さんには何かとお世話になっています。

また、休日に庭の草取りをしているとご近所の方が話しかけてくれて、本土の野菜が安いお店や島のイベントなど色々教えてくれます。

夫は「この島に住んでいる人全員を知ってるわけじゃない」と言います。でも大体みんな知り合いで、何の仕事をしているかなど、よくご存知です。

島の雰囲気を知りたい方には「ばらかもん」をおすすめします。この漫画は長崎県の五島が舞台なのですが、同じ九州で方言も似ているし、島あるあるがたくさん描かれていて笑えます。

8. 野良猫がかわいい

正確な数はわかりませんが、島には10匹以上野良猫がいます。私の癒しです。

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ただ、魚や干してあるイカを盗んだりもしているようです。お魚くわえたドラ猫を追いかける人をリアルで初めて見ました。

9. 食べ物がおいしい

新鮮なお魚がたくさん食べれます。今の季節はブリがおいしいです。夏はウニやアワビが取れるので、うちではアワビづくしになります。

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ご近所さんから畑で採ったばかりのお野菜を頂くこともよくあります。

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私の料理の腕でも結構おいしいものが作れているのは素材の力だと思います。

10. 家を出たらそこが遊び場

何もない島ですが海がきれいで自然が豊かです。

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家のすぐ前が海なので、予定のない休日の午後に、ちょっと晩御飯の魚でも釣ってくるか。ということもできます。

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島外れの人がこない海岸を勝手にプライベートビーチにして、ビールとおやつを持って泳ぎに行ったりもします。車を運転しなくていいので好きに飲めるのがいいです。

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夏の間は同僚や友達が遊びにきてくれて、よくBBQをしました。

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 最後に

島生活は不便なことも多いですが、みんなが助け合って暮らしている感じがします。自然はきれいだし食べ物はおいしいし、のんびりしていてストレスがなくなりました。

引っ越す前はかなり不安だったのですが、思ったより全然楽しいです!

もうすぐ世界遺産になるかもしれないし、機会があれば是非大島に遊びに来てください( ´ ▽ ` )ノ 

 明日はいよいよラスト! yu_island さん、よろしくお願いします。